シオドア・スタージョン 『きみの血を』

こんにちは、kaizenaiです。

今回紹介させていただくのは、シオドア・スタージョンの古典的名著、「きみの血を Some of your Blood」です。

きみの血を (ハヤカワ文庫NV)

きみの血を (ハヤカワ文庫NV)


いわゆるSFに分類されてきた作品ですが、いま読むとSFというより、サイコサスペンスにずっと近いですね。あるいはスティーブン・キングのようなモダンホラーの大元でもあるでしょうし、架空の手記を用いたメタフィクショナルな手法は、後のポストモダン的傾向を深めるフィクション全域の嚆矢であるともいえます。
正直、あまりに新しすぎて、これが数十年前の小説だと俄かに信じがたいくらいです。これをリアルタイムで読んだ人の衝撃はどれほどのものだったのでしょうか。

また、この本はいわゆる吸血鬼ものとしても分類されてきたんですが、してみると吸血鬼というものはそもそもがキリスト教文化圏の存在で、日本人の私からするとなんとも不思議なような滑稽なような、でも気持ちは分かるような、複雑な気分にさせられます。