松本淳 + 田中渉『ラブコメ』
残暑厳しい日々が続きますが、むしろ立秋してから夏本番、異常気象という言葉が決まり文句になって久しい昨今、長梅雨の影響で秋からの野菜価格高騰が心配な今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか、fruitskukuruです。
さて、今回は、圧倒的に幸せニヤニヤ気分を味わいたい気分の時に、この一冊。
- 作者: 松久淳,田中渉
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/06/16
- メディア: 単行本
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ハッピーエンドであるっ!
いや、まぁ、ネタバレ的な意味ではなく、むしろ安心して最後まで読んで良し、という太鼓判。
内容は、タイトルがすべてを語り尽くしている、これでもかってくらいのラブコメディです。
老若男女分け隔てなく、サバサバといつでも豪気な花屋の店長であるヒロインと、
『嫌なこと言うけど、たぶんだいたいの女にとって、自分とは関係ないところで幸せになってもらいたい部門一位なのよ、美晴くんって』な、人畜無害で押しが弱い、そこそこ売れてるアニメ脚本家、
そんな二人を取り巻く、本音全開にもほどがある大人たちが繰り広げる、二十代後半な恋愛事情。
それが、『ラブコメ』という作品です。
もう、ストーリー的には、ベタというか王道で、誰にでもお勧めできる安心感がありながら、
「つきあおうとか言わないから、やるだけでもいいんだけど」
「そこが根本から間違ってるんだよ、おまえらは」
「うそ、それが男の一番素直な気持ちよ。俺のやりたい気持ちの半分は優しさでできてるんだよ」
といった、あけっぴろげにも程がある、男女の本音(セックス論含めた)トーク。
そして、そこそこ経験したからこそ導き出せる、十代の恋愛では言えないような教訓、
「女からの別れには必ず理にかなった理由がある。でもそれは男にとっては理不尽このうえない」
等々の、軽妙にして時に深いセリフの数々には、本筋とは関係ない部分で唸らされることも多々。
酸いも甘いも経験した大人にこそオススメしたい、思いっきり肩の力を抜いて読めるラブコメディ。
スタイリッシュでもなく、手に汗握る展開もなく、ましてやスケールは笑っちゃうほど小さいんだけど、だからこそ、たぶん、心の底から共感できるラブストーリー。
ドキドキ×うるうる×キュンと切なく(以上帯から抜粋)、
ニヤニヤ×うんうん×イタタな過去を思い出させる、
最後には二人を応援したくて仕方がなくなる、心がホッと喜ぶラブストーリー。
「愛撫とアイラブユーって似てると思わない? そんな気分の花よろしく」
そんな気分のおともに、是非。
誰も表向きには口にしない『男女の本音』がそこに。